トップページ > 開発事例Ⅱ 大型ロータリーキルン炉

島川製作所では、小型から大型までお客様の使用条件に合わせた熱処理炉の設計・製作を行っています。
「高機能性樹脂材料の品質を確保し、かつ大量生産を実現したい」というお悩みをお抱えのお客様ニーズに応えるべく当社が技術を結集
して開発・製作した「大型ロータリーキルン炉」の事例をご紹介します。

大型ロータリーキルン炉の仕様

装置名 大型ロータリーキルン炉
大きさ 長さ 10,000mm 奥行 2,200mm 高さ 3,050mm
キルン炉内径 1,300mm
回転スピード 0.5~1回転/分 正転、逆転が可能
処理温度 最大320℃
処理量 98kg/時間

※仕様詳細はお問い合わせ・ご相談ください。

大型ロータリーキルン炉

お客様

会社名:S社様
事業内容:樹脂材料の生産・加工等

お客様のお悩み

お客様のS社様は樹脂材料を加工し高機能性樹脂を製造しておられます。
粉末状の樹脂材料をある条件で加熱処理をすると化学変性により高機能性樹脂ができます。樹脂材料は微細な粉末であるため単に材料が炉
内のライン上を流れるだけでは材料全体を均質に加熱処理することが難しく、従来の製造ラインでは品質にバラつきが出ていました。S社様で
はより精度の高い加熱処理により歩留まりと品質の向上を図るために「高機能性樹脂材料の品質を確保し、かつ大量生産できる加熱処理ライ
ンができないか?」とのお悩みをお持ちでした。

当社独自のノウハウ

開発担当 金

「高機能性樹脂材料の品質を確保し、かつ大量生産を実現したい」
S社のご担当者が熱処理に関して調べられたときに偶然、当社のホームページをご覧にな
りました。当社のホームページには独自技術によるロータリーキルン炉について掲載してお
り、これをご覧になったご担当者は「これなら実現できるかもしれない。」と思い、当社にお
問い合わせを下さいました。そこから、S社と島川との共同作業が始まりました。

お客様目線で、未知の領域に挑戦

未知の領域に挑戦

当社には金属粉末の材料を同一時間内に、一定の温度で、温度履歴のバ
ラつきがなく、熱処理できるロータリーキルン炉の製作実績が少なからず
ありました。当社のロータリーキルン炉は、独自開発の“スクリュー送り羽
根”により材料をかき混ぜながら同一の進行速度となるよう管理し、さらに
炉の回転や温度を電気制御により管理する“ゾーン制御”により管理精度
を高めることが温度履歴のバラつきを解消し、均一品質の加工ができるキ
ルン炉として高い評価を頂いており、「粉末状の材料を温度履歴のバラつ
きがないように熱処理加工する」というS社様のご要望に当社ロータリーキ
ルン炉の特長がピッタリとマッチしました。
しかし、それだけではS社様からのご要望に十分にお応えする事はできま
せんでした、S社様は「ひとつの温度帯での温度履歴」ではなく、 

1.2段階の温度帯による熱処理 
2.それぞれの温度帯により異なる処理時間による熱処理 

の2つの要求を満たした上で、「全ての材料の温度履歴が完全に同じ」になることというものでした。これは当社にとっては未知の領域です。
従来の仕様のままでは2つの温度帯による熱処理というご要望にお応えする事は出来ません。「常にお客様目線で」をモットーとする当社では、
新たなロータリーキルン炉の設計に取り組みました。

当社固有の技術をさらに深化させ困難な温度管理、処理技術を確立

最大の課題は、1つの炉で温度帯により処理時間を変えるという条件を満たすことでした。それにはキルン炉内を進む材料のスピードを同
じ炉の中で変えなければなりません。
しかし、単にキルン炉の回転スピードを変えるだけでは、材料の連続処理が困難になります。
そこで、キルン炉の回転数は一定のまま“スクリュー送り羽根”に工夫を加えることでこの問題を解決ました。この特別仕様の“スクリュー送
り羽根”と“ゾーン制御”のノウハウをさらに進化させた制御プログラムの組み合わせにより、キルン炉内に入った材料は特定の温度帯にお
ける特定の処理時間という要求を満たしつつ、1つの炉で2つの温度帯、2つの処理時間を実現し「全ての材料の温度履歴が完全に同じで
あること」というご要望にお応えすることが出来ました。

大型化、メインテナンスのしやすさにも配慮、常に進化をつづけています。

常に進化をつづけています

加熱処理についてはもちろんのこと、他にもさまざまなカスタマイズを行
いました。
製造量の要求にお応えするためキルン炉は当社の従来型の1.6倍の大
きさとなったことから、キルン炉の駆動部分について大きな改善を加え
ました。また、超微細な粉末状の樹脂材料が無駄なく処理されるように
従来品以上に密閉性を高めるなど、お客様の状況に合わせたカスタマ
イズを随所に施しました。
常に均一の品質のものを製造し続けるには装置のメンテナンスが欠か
せません。S社様の場合は樹脂材料の加工であるため、炉内に素材が
溶着してしまいその掃除等のメンテナンスについても考慮する必要があ
りました。そのため、メンテナンススタッフが作業をしやすい炉の形状を
研究するなど「使用されるご担当者様の目線」を重視しました。

このようなカスタマイズ製作をご評価いただき、S社様からはその後も継
続して受注を頂くことができました。
2号機以降も新しい技術を逐次導入した島川のロータリーキルン炉には
さまざまな温度、雰囲気における熱処理のノウハウがたっぷりと詰まっ
ています。

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